越前海岸を探る!LOCAL LEARNING TOUR『植物編』

冬には白い越前水仙で覆われる棚田。周りには紅葉を待つ銀杏の木

冬の越前海岸を歩くと風に乗って水仙の甘い香りが漂ってくる。この日香ってきたのは、銀杏の独特な香り。
越前海岸の文化的景観を探るローカルラーニングツアー第1回のテーマは、『植物』。
水仙の名所だからこそ、観光客などが目にする水仙畑は冬の季節のみ。しかし、水仙以外にも越前海岸ではたくさんの植物を見ることができる。
今回は、植物や自然観察のプロである久米田賢治さんと藤野勇馬さんを講師にお迎えし、水仙畑周辺に自生する植物の観察会を開催。

久米田賢治さん(左)と藤野勇馬さん(右)

出発と同時にまずは、所々葉先が出てきている水仙の解説。草刈り後の畑には、水仙の周りにもさまざまな種類の植物が生えている。しかし、それぞれの生育温度(植物が育成できる温度)の違いで、冬には雪の季節を越えられる水仙だけが残るとのこと。だから、冬には一面の水仙が咲き誇る風景に出会うことができる。

秋の越廼地区で斜面を見ると、至る所に越前水仙の芽

水仙を観察し終えて、銀杏の匂いがする方を見ると、越前水仙カメラでいつもお世話になっている水仙農家の藤崎さんご夫婦が銀杏を洗っていた。
「昔は販売していたけれど、今は知り合いにあげるだけ。でも、すごい量が採れるんだよ」
大量の銀杏を丁寧に水とザルなどの道具を使って種の部分だけに加工する。藤崎さんご夫婦は、越前水仙はもちろん、わかめ、もずく、銀杏などなど、この地域の季節に合わせた暮らしをしている。

いつ訪ねても季節の仕事をされている藤崎さんご夫婦

「植物は、花だけ。実だけでは分かりません。葉も大切。ちょっと違うだけで全く違う種類になるんです」と、講師のお二人と歩くと、いつも何気なく見ていた植物が全く違って見える。なにより、こんなに時間をかけて、植物を見ながらあるくことはなかなかない。
「本当はもっと足を止めて、地面に顔を近づけて観察したいんですけどね(笑)」参加者がどんな質問を投げかけても、必ず何科に属するなんという植物なのか教えてくれる。食べられるかどうかも。そして、植物を見分けるときには、見るだけではなく口に含んでみることもするそうだ。似た葉でも痺れるか痺れないかで判断することもあるという。

海辺には、葉が厚くて艶のあるものが多いとのこと

参加者は、惹かれた植物、気になった植物をカメラで撮影。今回OMデジタルソリューションズの協力でお借りしたレンズが14-150mmまでカバーできるということで、どんな状況の植物でも、自分達が見せたいように表現することができた。

カメラがあると、より周りをしっかりと観察することができる

観察会のゴールは、山ぶどう。道路沿いにポツポツとなっていた紫の粒。講師がおもむろに口に運び「どうぞみなさんも食べてみてください」と言う。恐る恐る口に入れてみると「甘い!」「すっぱい!」の声。

何気ないところに、食べることのできるおいしいものも

有識者がいなかったら見つけることも、口にすることもできなかったごほうび。何度も歩いたことがある道なのに、全然違った道に思えた植物観察会。食べることができる植物が生えていたり、なかなか前に進むことができないほどさまざまな植物が生えていたり、越前海岸には水仙だけではなく豊かな植物が自生していた。そして、意識と目線、知識の持ち方で当たり前はガラッと変わる。そんな実体験ができた観察会となった。

花、葉、茎、実、それぞれの特徴を本当に丁寧に教えてくれた講師のお二人

ツアーの最後は、参加者が撮影した写真をみんなで共有。
それぞれが印象に残った植物の写真や、名前クイズ、講師のお二人が写真一枚一枚に写る植物にまつわる知識を教えてくれるなど、その日を振り返って改めて学ぶ、とても楽しい時間でした。

次回は、今週末10月15日(土)!
テーマは、『地質から探る越前海岸形成史』。水仙畑が広がる急斜面をはじめ、越前海岸に存在する特徴的な地形・奇岩。その岩石や地層から越前海岸の成り立ちを探り、水仙栽培がなぜ広がったのかを考えてみます!
まだ、参加者も若干名募集していますので、こちらからお申し込みください

ごほうびの山ぶどうの採れる場所で集合写真

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