夫婦が届ける想い

越前水仙の露地の切花出荷は、11月下旬から始まり12月中旬にピークを迎え1月上旬までの約2カ月行われる。
良い切花が出荷できるようにと肥料散布や草刈りを含め一年間をかけ大切に育てられた水仙は、この2カ月間しか収穫できない。この2カ月間、水仙農家は朝から晩まで寝る間を惜しんで水仙に時間をかけている。


水仙を受け取った人が長く楽しめるようにと、つぼみの状態で収穫。水仙が痛まないよう寒い時間に収穫し、根元をきれいに切りそろえ、1時間以上の水揚げでたっぷりの水を吸わせる。
それだけでなく、収穫してしまうと翌年は花を咲かすことができないため、出荷できない花は翌年こそは綺麗な花を咲かせることができようにと余分に収穫しない。

水仙を受け取る人を想い、水仙にまで気を配りながら、朝早くから収穫し、夜遅くまで出荷に向けた調整をし、翌朝8時の切花出荷に向けて毎日時間をかけている。
藤崎武彦さん、愛子さんご夫婦は、年間2万本以上を出荷する水仙生産者だ。夫婦二人で日の出とともに朝6時に畑に向かい収穫をおこない、出荷までの作業を二人で分担をして行っている。

越前水仙の出荷基準は他産地と比べても厳しく、長さと葉の枚数から8つの規格に分けられている。二人は、この厳しい出荷基準を越前水仙の誇りに思い、夫婦で協力しながら進めていく。
根元の処理と、葉についた余分な水分や汚れをきれいにするのは、武彦さんの仕事。
そのあと、選別ボードに並べながら「え、ち、ぜ、ん、水、仙」の長さと葉の枚数が4枚以上か3枚かを選別し、出荷規格に合わせるのは愛子さんの仕事である。最後に、規格ごとに10本束にテープでとめて出荷する。
「二人だから続けられるのよね。」と、二人で笑いながら話してくれた。二人の笑い声や出荷までの物語、越前水仙への誇りが出荷される越前水仙に吸い込まれていくよう思えた。越前水仙の見た目の美しさには、藤崎夫婦を含め生産者一人一人の想いがあるからだと思えた。

中村 麻由美
福井市 園芸技師

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