「想い」がつなぐ、越前水仙

日本海に面し、厳しい海風が吹き寄せる福井県の越前海岸。ここ南越前町の糠地区にも、かつては沿岸一帯に越前水仙が咲き誇っていました。
異変が起こり始めたのは15年ほど前。南の方からイノシシやシカが北上し、甚大な被害によってその美しい景観が損なわれてしまったのです。
一時は「意気消沈してしまい、もう栽培を諦めようかと思った」と語るのは水仙農家の大浦和博さん。それでも、町や他の農家さんと協力しながら、球根を植え、草を刈り、イノシシやシカの防護柵を設け、再び越前水仙が花を付けられるように尽力されてきました。
そんなある日、水仙の摘み取り体験で訪れた時のこと。「しばらく畑に入っていないから、咲いているかどうか・・・」と、やや不安な面持ちの大浦さんと坂を上ると、そこには少ないながらも健気に咲く水仙の姿が。
「これならまた、やる気が出るね」と、嬉しそうに話す大浦さん。その優しい眼差しが、とても印象的で心に残りました。

石原康宏
㈱JTB福井支店 観光開発プロデューサー
2014年に愛知から転勤で福井へ。福井の風土とヒトに魅入られて移住・定住を決意。多くの文脈で福井を語れることに至福の喜びを感じる46歳。

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