風景の守り人

水仙はつぼみのまま、畑も青々とした12月が、実は収穫の最盛期である。越前水仙は、とても厳しい出荷基準を設けている。花が咲いてしまうと出荷できないのだ。
急斜面の畑には、年2回の下草狩り、肥料やり、そして収穫と、一年を通して手を入れないと、ススキや雑草に負けて 水仙は育たなくなるという。「大変そうですね」と思わず声をかけると「平地よりも斜面の方が、かがまなくて良いから、草刈りも収穫もやりやすい」と笑う。
彼らがいるからこそ、守り、伝えられる風景。カメラを向けると、照れながらもこちらを向いた顔は水仙に負けずキリッとして、とても誇らしく見えた。

倉橋 宏典
東京で都市計画・まちづくりのコンサルタントで働いたのち、11年前に福井にUターン。
現在は福井県庁。子供と一緒にカメラ修行中。

陽射し

日本海を望む山の急斜面と、そこに広がる水仙畑。ガードレールの切れ目はその入り口。横付けされたシニアカーは、畑での収穫に精を出す水仙農家さんが乗ってきたものだ。
荷台には大きな箱が取り付けてあって、農家さんはそのうち、これがいっぱいになるほどの花を摘んで戻ってくるだろう。
この場所に注がれる陽射しは、水仙を巡る営みが今日もたしかに続いていることを知らせてくれているようで、その光景の美しさに思わず足を止めた。

高橋 要
山形県出身1988年生まれ。
地域おこし協力隊として2015年に福井に移住し、高齢化と人口減少の著しい越前海岸エリアを拠点に活動。2019年より株式会社akeruに所属。
現在はまちづくりのコーディネーターやライターとして幅広く活動。

越前海岸の『越前水仙』を伝えるローカルフォト

令和3年3月26日、日本水仙の三大群生地のひとつである「越前海岸の水仙畑の文化的景観」が国の重要文化的景観に選定されました。
この地で栽培される水仙は「越前水仙」のブランド名で全国に出荷され、厳冬の日本海を背景に急峻な斜面地で栽培される「越前水仙」の咲く姿は、福井の冬の風物詩のひとつとなっています。

私は水仙栽培をはじめ、様々な生活・生業と景観を築く源を探るべく地域に入り、植物を調べ、石積みを調べ、年長者から話を聞くうちに、すっかりこの地域の奥深さに魅了されました。私の関わった重要文化的景観選定までの道のりは、まさに「地域らしさ」を見つける過程だったのです。

そして、この感動を多くの人と分かち合いたいと思うようになり、そんな時に出会ったのがローカルフォトという取り組みでした。
カメラと写真の力によりこの地域の魅力を見つけ、発信していくローカルフォトプロジェクト『越前水仙カメラ』。
ローカルフォトを学び、実際にメンバーが撮影した“越前水仙の感動”に共感いただけたら幸いです。


福井市文化財保護課 藤川明宏