引き継がれ続く生業

福井県越前海岸の北に位置する越廼(こしの)地区は、『越前水仙』の発祥の地とされる。今も、40軒以上の水仙農家がいるそうだ。皆、親から畑と技術を引き継ぎ、水仙栽培を生業として続けているという。

年間3万本以上を出荷する、田中 民子(たなか たみこ)さんもその一人である。水仙栽培をする親を子供のころから手伝い、役場に勤めていた時期も、休みの土日に手伝いをしていたという。55歳の定年を機に、親から水仙栽培を継ぎ、79歳になった今も現役農家だ。越前水仙を切花として出荷するまでには、収穫、切り口の洗浄や調整、選別、結束と多くの工程があり時間もかかる。それを田中さんは、一人で行っている。
「子供が時間あるとき、ときたま手伝ってくれるの。」と笑って話す田中さんは、日本海のきびしい風雪に耐える越前水仙のように強く、そして控えめないでたちである。親から子供に引き継がれ、越前水仙栽培がこれからも続いて欲しい。

中村 麻由美

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